音楽の友2007年8月号

  [海外取材]バッハフェスト・ライプツィヒ2007
 快挙!寺神戸亮、バッハフェストに4年連続出演

2007.07.20 updatede
 6月16日の夕刻、寺神戸亮は上村かおり、シャレフ・アド・エルの2人とともに、トーマス教会近くのライプツィヒ貯蓄銀行のクンストハレで演奏会を開いた。寺神戸亮の出演は4年連続。ライプツィヒの音楽家には常連として毎年バッハフェストに出演している人は少なくないが、非居住者では最高記録だという。この日本の誇るバロック・ヴァイオリンの名手にバッハ・アルヒーフがいかに大きな信頼を置いているかが分かる。チェンバロの譜めくりをバッハ・アルヒーフの事務局長デットロルフ・シュヴェルトフェーガー博士が自らつとめるのもまったく異例のこと。それも演奏家に対する敬意の表れだろう。
 
 リッカルド・ロニョーニ、アンジェロ・ノターリ、ビアージョ・マリーニ、ダリオ・カステッロ、マルコ・ウッチェリーニといったモンテヴェルディ周辺の作曲家の作品でその真価を明らかにする演奏を聞かせた後、コレッリの《ラ・フォリア》、バッハのBWV1021,1019の2つのソナタで締めくくるという今年のバッハフェストのテーマにふさわしいプログラミングだった。小規模の絵画の展示室という環境も、こうした企画に極めて似つかわしい。



         07年02月 ハクジュホール
      ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ
      J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲 第1・3・5番 批評
  

音楽の友2007年4月号<Concert Reviews>から
2007.03.21 updatede
寺神戸亮がヴィオロンチェロ・ダ・スパラでバッハの「チェロ組曲」を弾いた。1番の前奏曲、冒頭から柔らかくふくよかなこの楽器特有の音色が、程よい大きさのホールに響き渡る。アルマンドの優美なイネガルやサラバンドの繊細なデュナーミク、サラバンドの繰り返しで聴かせるちょっとした装飾音は寺神戸ならでは。3番の前奏曲ではダイナミックに音楽を語らせる。アルマンドあたりから弓が弦に吸い付いてきた。音色や表現の焦点がさらに絞れてブレーは雀躍とし、ジーグはダンスの愉悦に加えてスピード感があり、重音がくっきりと浮かび上がる。5番の前奏曲は冒頭がやや力みがちに見受けられ、対位法的な箇所などの弱音は美しいものの、強音となると過分な力が入り、クーラントはいささかぎこちない。ガボットで持ち直し、ガボットU以後のしなやかかつ濃やかなニュアンスに富んだ歌、ジーグの音色や情念の多彩な変化やコントラストは大書きに値する。再発見されて日の浅い楽器だけに、不安定要素と新たな可能性が隣り合わせなのは半ば当然。とはいえ、総じて通常のチェロにはないスパラ独自の魅力と、寺神戸の弾く「チェロ組曲」を堪能できた一夜だった。
(2月9日・ハクジュホール、那須田務)


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